2022年06月20日
沖田総司SS『思い出となるように(R18)』イメージイラスト
慶応2年1月19日
薩長同盟直前のこの日、待ち続けるばかりだった辛い初恋の決着がつきます。
はつみは大久保一翁に会いに行く龍馬に先駆けて伏見に入った所で沖田と再会しました。身分としては龍馬と同じく薩摩から通行手形を貰い『鬼椿権蔵』として各所検問を通り抜けているので、男装しっかりめ。
ちなみに時系列的には先日UPした『こまつといっしょイメージイラスト』から数か月後の事。この頃の薩摩はまだ幕府及び会津らと表立って敵対はしていませんが、慶応元年秋に起こった諸外国連合による神戸開港要求事件で一時中断となった長州征討への動きを再開させた幕府に対し、否定的な態度を取り続けているといった状況。もとより近藤は以前からどことなく会津と対立し不穏な動きをする薩摩を信用できず嫌っていましたが、それに加えてこの時上洛中の将軍警備だけでなく長州征討に反対する薩摩が神戸開港要求事件に備える名目で上洛させた薩摩兵も配置されている為、新選組はじめ各所幕府兵達は緊張状態にあった。(兵の上洛は開港要求事件に際し朝廷から京都守護の要請があった為だが、開港要求事件への対応としては遅すぎる出立だった事、英国を始めとする諸外国と軍事的対立を構える気は毛頭なかった事も含め、薩摩は幕府への牽制のために兵を上洛させるきっかけが欲しかったのでは、とも。)
はつみが薩摩の小松と懇意であり、神戸海軍操練所が閉鎖となって以降は恐らく薩摩のもとにいるであろうという事も、元治元年のはつみ襲撃事件をきっかけにすでに新選組内でも周知される事となっていた。その為、事ここに至り沖田は『自分の立場がはつみとは相容れない』事、『時間を擁すればまた会える日も来るだろうが、それには自分の時間が足りない』事。その他諸々つらい理由ばかりが重なり、結局、近藤からの「桜川殿の事は諦めろ」という通告を受け入れようとしていた所でした。
永倉が気を利かせて「今そこの通りを抜けてった何某だが、昔よく試衛館に来てたアイツに似てたな…」と適当な事を言い出します。「剣なんてからっきしなくせにお前にまぐれで勝ったアイツだよ。懐かしいな~!総司、確かめて来てくれよ」永倉からでっちあげの、しかしある意味嘘ではない絶妙な依頼を受け取った沖田は、先ほど遠くに見えたはつみの元へと駆け出す。いつもは遊ばせている遅れか髪も含めてひと房にまとめあげ、全体的に暗い色身の羽織、袴を身に着ける『志士』の後ろ姿を捕らえた。人込みをかき分け見失いそうになりながらもようやく追いつき、腕を取る。
「改めたき義がござる。お付き合い頂きたい」
そう言って、従事していた寅之進もろとも近場の茶屋に入る。主人に改めの為一部屋借り受けると言い放って二階へと上がっていくが、一体どういう事なのかと対峙する寅之進と一触即発となってしまう。何となく事の流れを察したはつみは二人を制し、沖田の話を聞くといって寅之進を先に寺田屋へと向かわせた。
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※以下仮SS。キスしてるのでR15。
愛していた、と言われ、はつみが振り返ってやれなかったその恋心を終わらせようとしているのだと察した。けれどそれ以上に、どうしても振り切れないもどかしい熱が沖田から伝わってくる。
「…総司くん…どうしたい?」
分かっていてそれを訪ねる自分が、どうかしていると思った。子ども扱いされる事に怒っていた背伸びをする沖田はもういない。背伸びなど必要ない程に心も身体も大人の男となった沖田に対して、あまりにも奇を衒った愚問ではないか。それでも沖田は溢れ出る感情のままに目頭を熱くし、はつみの細い肩を掴む手にじりと力を込める。そして今にも泣きだしそうな声で囁いた。
「…できることなら…貴女を抱きたい…」
そして瞳からまた涙があふれて行く。
「だけど…それはできません。私の身体は……」
「うつらないよ、私には」
「え…?」
耳を疑ったのは沖田が言わんとした事に対する『労咳は自分にはうつらない』といった返事そのものに対してでもあったが、それ以上に、労咳の事は伝えていないのに何故知っていたかといった事に対してでもあった。
「労咳の事…どうして…誰かから聞いたのですか?」
はつみはただ黙って首を横にふるう。
…おかしなことは今回が初めてではなかった。沖田が麻疹に罹った時も、多くの隊士や芹沢、山南らを斬ってまで新選組が歩む血塗られた修羅道の事も…彼女はいつだって、何故か、殆ど正確に把握していた。そもそも江戸剣術修行に挑む寅之進に『知る人ぞ知る』貧乏道場であった試衛館の存在を教えたのがはつみであったという始まりの所からして、不自然な話であった。
―しかしその違和感を突き詰めようとする理性よりも、今目の前で神妙な視線を投げかけてくる彼女の艶やかな唇に視線が吸い込まれていく。はつみを追いかけてこの茶屋に連れ込んだ時点で既に息は上がっていたが、それとはまったく別の、本能から高鳴る鼓動により体中が熱くなり、呼吸が早くなっていった。
『自分にはうつらない』と言うはつみの言葉の真意は分からない。労咳がうつらないなら世の人々がこの不治の病をここまで恐れ遠ざけようとする事もなかっただろう。冷静であればこれ以上の接触はすべきでない、彼女を同じ道へと引きずり込むべきではないと抑止できたはずだ。だが…
「…本当に、いいのですか……」
うつるうつらないだけではない、男として触れる事そのものへの意味も込めて問う。細い肩から手を離し、はつみの頬に触れようとする自分の手が震えている事に気付いた。様々な感情が入り乱れている事に違いはないが、最も溢れ出るのはやはり期待と歓喜であろう。
「わたしなんかに…出来る事があるのなら…」
はつみの表情にはどこか自責の念を感じさせるものがあった。当然だ、女性にここまで言わせる自分の方が情けないのだ。隙を見せつけるはつみの頬に震える手を添え、下唇を噛みしめながら小さく首を横に振って見せる。
はつみの想い人が自分ではない事も分かっている。若くして発症した病への同情もあるのだろう。それでも、初恋を自ら諦めようとする目の前の哀れな男にせめてもの慰めを与えようとしてくれている。
―5年間。その内、この愛しい人とまともに対峙し語り合えたのは両手で数えるほどしかなかった。会いたくても会えないのは物理的な距離か原因だっただけでなく、寧ろ立場的な問題の方が差し迫って深刻な問題であった。それでも沖田ははつみ以外の女の事は何も知らない。水に濡れて布越しに浮き上がった身体を見たのも、熱に火照る胸の柔肌を見たのも、今目の前にいてそっと指先に触れる唇の瑞々しさと温かさを知れたのも…すべてはつみが初めてあり、全てだった。
はつみしか見ていなかった。
「貴女の全てを、知りたいです……知った上で…全てを思い出にしたい」
病を押してでも抑えきれない欲求に愛しさと自己嫌悪が絡み合って再び涙が込み上げてきた。自分がどんな顔をしているのかもわからないが、はつみはそんな自分を見て切なそうに眉を歪め、震えながら大きく息を吸う。そして沖田の首筋から頬にかけて、まるでくすぐるかの様にするりと彼女の指がかかった。か弱い力で引き寄せられたかと思うなり唇に今まで感じた事のない感触を受け、思わず身体を強張らせてしまった。
「―っ!」
同時に甘い香りが鼻腔を掠め、あまりに妖艶な香りに瞼の裏で星が瞬く程刺激を受けてしまう。驚き半開きになったままの唇に暖かくぬめる何かが遠慮がちに這った瞬間、沖田の身体に雷でも落ちたかの様な衝撃が走り息もできない程に心臓が締め上げられてしまった。
「―ぁ、は…」
「…ちゅ…総司くん…」
口吸いというものにここまで気をやってしまったのは、やはり相手がはつみであったからに違いない。名を呼ぶ彼女を見下ろすと、彼女も口腔からの刺激に頬を火照らせてはいたものの、まだ自責の念に駆られた様な遠慮がちな表情で自分を見上げていた。沖田は情けなく泳がせていた手ではつみの身体を引き寄せ、今度は自ら、覆いかぶさる様にしてはつみの口を吸う。
「ちゅ、ちゅぅ…はぁ…はつみさん…はつみさん…」
……ってな感じなのを考えているのでありますー!(ここまで書いたんだから普通にさっさとSS書けよという話w)かぐやの君は一部18禁のイチャコラ創作じゃぁ!と脳内では妄想ウッハウハなのに、なかなかソレが描けない私であります。ぐぬぬ…は、恥ずかしくて…!一回描き始めるとがっつりしっかり描くんですけどね…(笑)
WEBサイトでは沖田総司の全プロットを公開致しました。
沖田の悲しくも精一杯な初恋にご興味がありましたら、是非覗いてみて下さい
2022年01月29日
かぐやの君イラスト、タイムラプスです。
クリップスタジオでちょくちょく残してます。
リクエスト等ありましたらお気軽に…w
↓新選組・沖田総司くん
↓乾退助(お肌の露出があるのでご注意ください)
動画はこちら
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クリップスタジオでちょくちょく残してます。
リクエスト等ありましたらお気軽に…w
↓新選組・沖田総司くん
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2021年11月24日
最近描いたイラスト
↑沖田総司
↑高杉晋作
↑アーネスト・サトウ
↑坂本龍馬
最近幕末再燃し始めたんだけど、かぐやの君自体は2006年から続けている創作です。(途中、友人とともに『はつみさお』として合同創作しておりました。)
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